今回のアップデートの3本柱はこちらです。
- ライフサイクル管理のシンプル化
- ネイティブファイルサービス
- クラウドネイティブストレージの強化
ストレッチクラスタ も進化しています!
- ストレッチ クラスタの容量不均衡に基づく I/O リダイレクト。vSAN は、容量制限のあるサイトから他のサイトに仮想マシンの I/O をすべてリダイレクトします。この処理は容量が解放されるまで行われます。この機能により、仮想マシンのアップタイムが向上します。
その前に!
ストレッチクラスタの基本を復習したい方はこちらから(9個の記事りますので、導入部分です)
図を使って説明していきますね。
ストレッチクラスタ は優先サイト、セカンダリサイト、ウィットネスホストを配置する3つ目のサイトから構成されています。
優先サイト、セカンダリサイトの間のネットワークがvSAN ネットワークで接続され、 仮想マシンが稼働しています。
ストレッチクラスタの場合、サイト保護を行う、ローカル保護を行う、これら両方を行う、3つからポリシーを選択可能です。
例えばサイト保護しない仮想マシンは、優先サイトまたはセカンダリサイトのローカル保護のみを適用すると、通常のvSAN クラスタと同様にクラスタ内のホストが1台障害にあっても仮想マシンを継続稼働させるといったFTT=1、ミラーリングorRAID5を設定することになります。
データはもちろんローカルサイト内で保護されます。
サイトアフィニティと組み合わせて利用し、優先サイトのみでこの仮想マシンを稼働させる、セカンダリサイトのみで稼働させることにより、必要な仮想マシンだけサイト保護を行い、ローカル保護とも併用することができます。
この図では容量に関連する部分として、優先サイトとセカンダリサイトが表されています。
優先サイトで稼働している仮想マシンはサイト保護されており、優先サイト、セカンダリサイトの両方に同じデータが配置されています。
サイト保護されている仮想マシンは2つのサイトのそれぞれのホストに同時に書き込みを行い、ローカルから読み取りを行います。
vSAN データストアに限らず、一般的にストレージは容量を使い切ってしまうとIOができなくなってしまいますよね。
セカンダリサイトの容量が限界に近づいてきた場合、どうなるのでしょうか。
サイトを定義することでこの仮想マシンのデータはサイトにまたがって配置されるますが、ストレッチクラスタは通常のvSAN クラスタと同様にデータストアはひとつです。
そもそもサイトのみで稼働する仮想マシンが一気に増えたり、サイトの中の障害が発生により再同期が行われたりすると、容量が逼迫する可能性があります。
もしくは当初はあとで増やせば良いと考え、セカンダリサイトのホスト数やストレージデバイスを少なく導入している場合もあるかもしれません。
それに気づかず使っていったらプライマリサイトの容量にはまだ余裕があって、セカンダリサイトの容量はいっぱいになってしまっている、という不均衡も発生します。
長々と書きましたが、ストレッチクラスタのサイト間の容量不均衡は様々な要因で起こりうる、ということがわかりました。
今回のエンハンスメントでは容量が逼迫したサイトに配置されているコンポーネントをAbsent/不完全とし、容量に空きがあるサイトへIOをリダイレクトします。
これによりアクティブなIOすべてが空き容量のあるサイトにリダイレクトされます。
下記状況下でこのリダイレクトが行われます。
- コンポーネントが廃止されているサイトの容量が99%以上
- 仮想マシンのポリシーがサイト保護有効(サイト間ミラーリング)
- オブジェクトの一方のレプリカが正常であること(片方は不完全となっているのでもう1つがちゃんと生きていること!)
このような状況になったとしても!
ストレッチクラスタにおいてサイト容量の不均衡が発生しても、できるだけ動いている仮想マシンを止めない仕組みが今回のアップデートとなります。
安心してお使いいただけます。
vSAN 7!シリーズ
vSAN 7 アップデート!詳細編 ① vSphere Lifecycle Manager(vLCM)
vSAN 7 アップデート!詳細編 ② vSphere Lifecycle Manager(vLCM)のセットアップ
vSAN 7 アップデート!詳細編 ③ ネイティブファイルサービス
vSAN 7 アップデート!詳細編 ④ ネイティブファイルサービスの構成
vSAN 7 アップデート!詳細編 ⑤ クラウドネイティブストレージ
vSAN 7 アップデート!詳細編 ⑥ ハードウェア周りのアップデート
vSAN 7 アップデート!詳細編 ⑦ 運用管理やUIのアップデート
vSAN 7 アップデート!詳細編 ⑧ vSAN VCG 通知サービス もう少し詳しく