前回はポリシーの考え方のvSAN で使用可能なルールの一覧をご紹介しました。
データ保護に関するポリシーのお話をします。
一般的な外部ストレージは物理的なデバイスで組むRAIDで、ここからLUNを切り出し、このLUNがESXiに提供されると共有データストアとなり仮想マシン置き場となります。
vSAN はvSphere クラスタに対して一つのストレージプール=共有データストアを提供します。
この共有データストアは一般的な外部ストレージを使用したデータストアとは異なり、データ保護がされていません。
サーバ内蔵ディスクがそのままプールとなっているので、仮想マシンを中心に考え、仮想マシンのサービスレベルを決定することで、ストレージリソースを払い出します。
そこで出てくるのが下記2つのストレージポリシー、vSAN のデータ保護ルールです。
- 許容する障害の数
仮想マシン オブジェクトで許容できるホストおよびデバイスの障害の数を定義します。
→クラスタ内のホストまたはデバイスいくつまで障害が起こっても仮想マシンが止まらないようにするか?を決める数です。
例えば、4ホストでクラスタを構成し、許容する障害の数を1とすると、1ホストの障害では仮想マシンは止まりません。多重障害に対応するためには2以上にします。
もし障害にあったホスト上で仮想マシンが稼働していた場合はHAにより再起動されます。 - 障害の許容方法
パフォーマンスまたは容量についてデータ レプリケーションの方法が最適化するかどうかを指定します。
[RAID-1(ミラーリング) - パフォーマンス] を選択した場合、Virtual SAN がオブジェクトのコンポーネントを配置するために使用するディスク領域は増えますが、オブジェクトにアクセスするパフォーマンスは向上します。
[RAID-5/6(イレージャ コーディング) – キャパシティ] を選択した場合、Virtual SAN が使用するディスク領域は減りますが、パフォーマンスは低下します。
→デフォルトではミラーリング(vmdkの多重化)での保護ですが、vSAN 6.2から容量効率性を向上させるためオールフラッシュ構成でのみパリティを使用するRAID5/6を設定可能です。
このようにデバイスレベルでストレージの保護をするのではなく、仮想マシンレベルでの可用性の担保を行う方式を仮想マシンのポリシーベース管理と呼びます。
もともと外部ストレージを使用する場合、仮想マシンの重要度やサービスクラスを検討/決定し、ストレージの選定/設計を行った上でストレージの導入を行いホストに提供、仮想マシンを格納していました。
しかし、VMware のハイパーコンバージドインフラ vSAN のストレージ機能を使用する場合はクラスタに割り当てたストレージプールから仮想マシンのサービスレベルを決めると、要件にあったストレージが自動的に割り当てられます。
異なるサービスレベルでも共有データストアとしては一つで
ストレージのリソースプールはひとつ
その中で仮想マシンをどう守るかをポリシーで決める!
性能重視の多重化:2重、3重、4重
容量重視のイレイジャーコーディング:RAID5/6
まずはポリシーベース管理、データ保護編でした〜!
ポリシーベース管理シリーズ