vSAN 8 は何より新アーキテクチャExpress Storage Architecture の実装が目玉です。
vSAN のストレージポリシー管理による仮想マシン(仮想ディスク)を基準とした考え方はそのままですが、ハードウェアも含め大きな変化ですので、新しいこと、嬉しい!
深掘りすると中身が色々変わってたりするので説明しなければという使命感はあるものの。
今までのvSAN がなくなる訳ではないので、まず全体的なアップデート内容からお伝えできればと思います。
目次
2つのアーキテクチャ
まず整理のために、vSAN 8 では2つのアーキテクチャがあります。
Original Storage Architecture(OSA)
これはみなさまよくご存知の、リリース当初から変わらない、2階層=キャッシュ/キャパシティデバイスから構成されるアーキテクチャです。
専用ストレージ筐体に匹敵するようなパフォーマンスを出すためには、と考えられた汎用的なサーバのパーツを活用したアーキテクチャです。
パフォーマンスを担う前面に出るデバイスは高性能なSSDをキャッシュデバイスとして使用。
コストパフォーマンスに優れたハードディスクやSSDをキャパシティデバイスとして使用。
出たての頃はまだフラッシュデバイスも小容量、高価格と性能を求めると物理ストレージはHDDだけでこんなにパフォーマンス出るのに、SSD なんて高すぎる!というお客様の声もありました。
(物理ストレージのコントローラキャッシュの代わりを汎用的なサーバSSDで代用するということを丁寧に、丁寧に説明をした時代。)
もちろん今現在、フラッシュデバイスは容量単価や性能単価が6,7年前と比較して下がりました。
一方、技術の進化とともに超高性能のストレージデバイスが登場したのもここ数年です。
NVMe やPCIeデバイスを活用した爆速オールフラッシュHCI を構成するお客様もどんどん増えてきています。
Express Storage Architecture(ESA)
vSAN 8 で実装された新アーキテクチャです。
最新の高性能なNVMe デバイスを活用することで、従来のキャッシュキャパシティの二階層構造を排除し、シングルティアで構成されます。
性能を求めるとミラーリング、容量効率性を求めるとイレイジャーコーディング、とどちらかしか選べなかった従来アーキテクチャですが、この新アーキテクチャは性能も容量効率性も両方とも
様々なデータサービス、圧縮や暗号化、チェックサムの処理のオーバーヘッドも軽減し、CPU やネットワークを最大限活用することができます。
またディスクグループがなくなったことで、デバイス単位での管理=障害範囲の極小化というメリットもあります。
詳細は別途ご紹介しますね。
新アーキテクチャ以外のアップデートって何があるの?
Original Storage Architecture のエンハンスメント
キャッシュデバイスの容量サイジングでどれだけ積めば良いのか、よく質問をいただきます。
2017年に変更があっと時のHCI はじめました記事
サイジング - オールフラッシュモデルのキャッシュ層サイジング
新しい情報もまとめた情報はこちら↓
調べたこと 試したこと: vSAN キャッシュ層 SSD の選定・サイジングのおさらい(2019年版)
vSAN ディスク グループのデザイン、構成、組み方、FAQ | Lab8010
重要なポイントが、オールフラッシュ構成の場合はキャッシュデバイスでvSAN で使用可能な論理的な容量が600GB ということでした。
極端な話、1.2TBのキャッシュデバイスを積んだとしても、600GBをvSAN のキャッシュ領域として使用、残りの容量はSSDの寿命を延ばすためにdynamic over provisioningで使用されるというものでした。
今回のvSAN 8 のアップデートではディスクグループあたり、1.6TBまでvSAN として論理的なキャッシュ領域として使用可能になりました。
性能面を考えると、使用容量が増えたからといってデバイスあたりのIOPSが良くなるわけではないので、キャッシュデバイスを追加してディスクグループを分ける選択は変わりません。
安定性の向上やデステージが間に合わないような大量書き込みに効果的です。
ESA & OSA 共通のエンハンスメント
デプロイ&拡張
クラスタ作成時に32ホスト以上で構成する場合のチェックボックス(および必要な再起動)の削除
大規模構成でのデプロイや32ノード以上への拡張が容易になりました。
セキュリティ
ESXi 全般のセキュリティの強化の項目ですね。
運用管理
ネットワーク アップリンク メトリックの強化
遅延のメトリックの追加されました。
vSAN クラスタのシャットダウンワークフローを強化
vSAN Proactive Insights - CEIPを無効化環境においてもクラウド健全性チェックが可能
データサービス
HCI Mesh
サーバクラスタ-クライアントクラスタの接続数上限が5→10になりました。
ファイルサービス
日々の運用と運用管理性の向上に関連する機能拡張
先日、vSphere 8 / vSAN 8 セミナーを行ったのですが、ちょっと詰め込み過ぎました。
QAのところにブログ見てるよーとコメントいただいた方ありがとうございます!
QAじゃないのに読み上げて回答するのどうしよう、と迷ったので、こちらで嬉しかったことをお伝えします。
vSAN 8 シリーズ
vSAN 8 で実装された新アーキテクチャとは、の前に - vSAN 8 ①
ESA シングルティア構成はハードウェアが重要! - vSAN 8 ②
vSAN 8 ESA ReadyNodes を選んでみよう - vSAN 8番外 ①
vSAN OSA からESA へのアップグレードはできるの? - vSAN 8番外 ②